ThinkingSketch がどんなソフトウエアなのかを簡単にまとめたページです。
どんなソフトウエアなのか?
いままでのコンピュータ上の絵画の支援ツールは、 (鉛筆やブラシが精密化されたもので、) 作者が頭の中に確固としてもっているものを 正確にあるいは高速に表現するためのツールであると考えられます。
これに対して、ThinkingSketch は作者となる人間が 何を表現したいのかというイメージ自体を 作り上げるのを手助けしようとしている点が本質的な違いといえます。 (この意味ではアイデアプロセッサ的なものと言えるかもしれませんが、 その一言では語り尽くしたものともいえないように思えます。)
さらに、複数の利用者がネットワーク上でお互いの作品や、表現のノウハウを交換できる 機能を備えています。
どんなふうに役立つか?
表現する気持ちを後押しする
絵を描いたり彫刻(粘土細工もふくまれますね)するとき、 心のなかにある作品の出来上りとしてのすがたは、 大抵ぼんやりとしたものです。 大抵の場合、創作の過程では、とりあえず、 絵とか彫刻として自分の外にある具体物としてつくってみます。 その表現したものの中間的な形態を評価して、ブラシや指で変えてゆきます。 そのようなプロセスの中で気に入った表現というものに出会うのです。 その表現というプロセスの中には素描(デッサン)のような、 時間をかけて技術を身に着けなければならない作業手順が含まれています。 そのため、多くの人たちが視覚的な媒体を用いた 絵画や彫刻ものによる表現という行為自体を あきらめてしまうことが多いのではないでしょうか。
このソフトウェアのユーザは、 ある程度自由な表現をソフトウェアに任せるのですが、 併せてそのソフトウェアによる表現の自由度をコマンド選択によって制限します。 こうすることによって自分の表現したかったものを、 ソフトウェアという下請け職人を使って表現できるのです。 これはメタファとしては劇や映画での俳優と演出家の関係に近いかもしれません。
表現について深く考えさせる
このソフトをつかって書き始めてみると、 意外に多様な抽象画が生成されます。 また、 ユーザにとっては生成される絵が なんとなくコントロールできるような気持ちになれます。 つぎから次へと新しい絵を描こうとして「はまる」状態にも陥ったりします。 このような状況は、作り出されたものをみて評価し、 また作ってみるというプロセスであり、 このような状況が「内省(リフレクション)」と呼べるのではないかと考えています。
表現のプロセスを加速する
このアプリケーションの役目は、 創作活動において「内省を加速させる」ということにあります。 われわれはこの「加速された内省」を、 最近、「ハイパーリフレクション」と呼んでいます。
アプリケーションソフトとして役に立つ側面の紹介
このThinkingSketch は応用面では多面性を持っていて、いくつか他の見方もできます。
内省の面白さに気づくツールとしての位置付けです。 過去にもいくつかワークショップを行いましたが、2003年には 小学生対象に大川センターのCAMPでワークショップを開きました。
また、美術的なテイストの存在を確認するためのツールとしても使います。 公立はこだて未来大学の「情報デザイン」の授業で、 非美術系の学生に美術表現を手軽に学ばせるためのツールとして使っています。
細密画などの描画をするときに、 高速で多数のオブジェクトを描画できる プログラマブルながら利用が簡単なツールとして利用できます
同一のデザインテーストをもった抽象表現を 簡単に作成できる機能がありますので、 シリーズもののブックカバーなどを作るには 有用なツールになります。 瞬時に多くのデザインが生成されますので 「良いものを選ぶ」ことにより生成されたものには 十分なクオリティがあります。
デザイナーの個人属性を超えて組織として デザインルールやテイストが保存できる点も今までの ツールとは異なります。デザイナーが事務所をやめても 似たようなものがつくれます。
デザイン能力をもたない個人が このツールをつかって自分のオリジナルな 意匠を生成することができます。 たとえば、インタネット上でデザイン生成 発注が可能な一品制作などが可能になります。 テキスタイル系でインテリア、服飾系にに適用可能 だと考えています。
Copyright 2003−2006, ThinkingSketch Unit